包丁の鋼材について

こちらのページでは包丁に使われる鋼材について記載しています。

包丁で一番大切なのが鋼であり、この鋼材によって包丁の質や値段も変わります。具体的に鋼の種類によって何が違うのかと言いますと、

1.刃の硬さ(切れ味)
2.錆びやすいか、錆びにくいか
3.切れ味の持続性
4.研ぎ直しのしやすさ

などです。
ハガネ〜ステンレスまで、一通りの鋼材についてまとめていますので包丁選びのご参考などにしていただけたらと思います。

ハガネ: 「よく切れるが錆びやすい」として知られる炭素系の鋼材です。


主なハガネの成分表
 鋼材名  HRC(硬度)  C(炭素)%  Cr(クローム)%
 白紙2号  60-63  1.1  
 白紙1号  61-64  1.3  
 青紙2号 62-64  1.1  0.35
 青紙1号  63-65  1.3  0.4
 青紙スーパー  65-67  1.45  0.4
 玉鋼  -  1.2-1.5  
※硬度HRCは数値が高いほど硬くてよく切れる包丁ということになります。包丁の製作工程によっても変動しますので、目安としてご覧ください。

※C(炭素)の含有量が多いほど硬くて切れ味の良い鋼ということになります。また硬いほど脆く欠けやすいという傾向もあります。

※ Cr(クローム)の含有量が多いほど錆びにくくなります。11%以上の Chrome を含む鋼がステンレスと呼ばれます。 また鋼にクロームを加えることで 耐摩耗性(切れ味が長続きする)、 焼入れ性の向上(熱処理が容易になる)といった効果も生まれます。

安来鋼白紙2号

通称白紙2号、 和包丁に使われる代表的な高級刃物鋼。 扱いが難しく職人の技次第といったところはありますが熟練の鍛冶職人が扱えば、鋭い切れ味が得られ適度な粘りがあり永切れし、また研ぎやすい上質な包丁に仕上げることができます。 白紙、青紙、銀紙シリーズは全て日立金属製の鋼です。

安来鋼白紙1号

通称白紙1号。白紙2号よりも炭素の量が増え、硬度と切れ味がさらに向上した鋼です。しかし硬度と切れ味が増すほどハガネは脆くなります。 白紙1号を正しくは扱うには熟練の技が必要となり、現在はそれだけの技のある職人が少ないため、 白紙1号の包丁は非常に珍しくなっています。

安来鋼青紙2号

通称青紙2号。白紙2号に少量のクロームとタングステンを加えることにより白紙鋼の熱処理の難しさを解消し、それと同時に粘り(欠けにくく)や対磨耗性(永切れ)を向上させた鋼です。 白紙2号より若干高級になります。

安来鋼青紙1号

通称青紙1号。白紙1号に少量のクロームとタングステンを加えることにより白紙鋼の熱処理の難しさを解消し、それと同時に粘り(欠けにくく)や対磨耗性(永切れ)を向上させた鋼です。 青紙2号よりも炭素の量が多いため硬く鋭い包丁になります。 そのため出刃や柳刃包丁など厚みのある包丁を研ぐ時は手間と時間がかかります。

安来鋼青紙スーパー

通称青紙スーパー。炭素やクロムの含有量がとても高く、日立金属の白紙、青紙シリーズの中でも最高峰の鋼です。非常に硬度が高く、切れ味にこだわるユーザー向けの高級三徳包丁や牛刀用の鋼材として使われます。

日本鋼

日本鋼という名前の鋼は存在しません。白紙2号よりグレードの低い鋼、例えば白紙3号や黄紙鋼などで作られた刃物に、この日本鋼という表記がつけられていることが多いです。

玉鋼(たまはがね)

日本刀の材料として知られる鋼、日本刀以外にはほとんど使用されません。 最高品質の玉鋼は炭素の含有量が約1.5%、 ケイ素やマンガンといった不純物はほとんど検出されず、世界で最も純粋な鋼とも呼ばれます。 日本刀販売店は多いですが原材料名までは表記していないため玉鋼製の日本刀を探すのは困難かもしれません。

ステンレス:錆びにくいのでお手入れが簡単。最近では切れ味の良いステンレス鋼材も多いです。


主なステンレスの成分表
 鋼材名  HRC(硬度)  C(炭素)%  Cr(クローム)%
銀紙3号  60-61  1.0  13.75
V金10号  60-61  1.0  14.5-15.5
ZDP189 65-67  -  -
SPG2(粉末ハイス)  64-66 非公開 
 R2(粉末ハイス)  64-66  1.4 16 
 モリブデン鋼  58-60  -  -
 440-A  57-59  -  -
※硬度HRCは数値が高いほど硬くてよく切れる包丁ということになります。包丁の製作工程によっても変動しますので、目安としてご覧ください。

※C(炭素)の含有量が多いほど硬くて切れ味の良い鋼ということになります。また硬いほど脆く欠けやすいという傾向もあります。

※ Cr(クローム)の含有量が多いほど錆びにくくなります。11%以上の Chrome を含む鋼がステンレスと呼ばれます。 また鋼にクロームを加えることで 耐摩耗性(切れ味が長続きする)、 焼入れ性の向上(熱処理が容易になる)といった効果も生まれます。


安来鋼銀紙3号

通称銀紙3号。白紙鋼に13%以上のクロームを加えることで錆びにくくしたステンレス系の鋼です。 ハガネ並みの切れ味があり、また硬質ステンレスの中ではとても研ぎやすく、本職用にも家庭用にも人気の高い鋼です。

V金10号

VG10と略されることも。高濃度の炭素やクロム、コバルトを含み、よく切れて、対磨耗性(永切れ)があり、粘りがあり(欠けにくい)、錆びにくい・・ 硬質ステンレスの代表格ともいえる人気の鋼です。ダマスカス鋼、ダマスカス包丁は複数の鋼を何層も重ねられて作られますが、V金10号はこの中心に入る芯材として使われることが多いです。

ZDP189

日立金属製のステンレスでは最高の硬度を誇る鋼。HRC65-67、青紙スーパー等の炭素系ハガネにも匹敵する硬度があり、最高の切れ味を求める包丁の鋼材として使用されます。しかし 『硬さ』と『靭性』は相反する性質があることから、適正に熱処理された場合でも取扱いによっては刃欠けや刃折れを生じる事例が報告されている、との事です。

スーパーゴールド2

略してSPG2と表記されることも、粉末ハイス鋼の一種になります。鋼に炭素、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウムといった金属成分を多量に添加したもので、「高硬度、耐摩耗性、耐食性」といった刃物に必要な要素を高レベルで実現しています。 切れ味、永切れ、という点では素晴らしいですが、研ぎ直すのが難しいため良質な砥石が必要になります。

R2

神戸製鋼の鋼材で、こちらも粉末ハイス鋼の一種になります。鋼に炭素、クロム、タングステン、モリブデン、バナジウムといった金属成分を多量に添加したもので、「高硬度、耐摩耗性、耐食性」といった刃物に必要な要素を高レベルで実現しています。 切れ味、永切れ、という点では素晴らしいですが、研ぎ直すのが難しいため良質な砥石が必要になります。

モリブデン鋼

モリブデン鋼として規格化された鋼種はなく、モリブデンやバナジウムの成分を含む鋼が総称してモリブデン鋼またはモリブデンバナジウム鋼などと呼ばれます。 モリブデンやバナジウムには強度(切れ味や耐磨耗性)や粘り(刃を欠けにくくする)を高める効果があり、市場で売られている多くのステンレス包丁がこのモリブデンやモリブデンバナジウム鋼の包丁にあたります。

440-A

Chrome 18%を含有する愛知製鋼製のステンレス鋼です。硬度があまり高くありませんので本格的な刃物には通常使われませんが、非常に錆びに強いためダイビングナイフ等に使用されます。

ダマスカス鋼

複数の異なる鋼材を重ね合わせて作られた鋼です。 墨流し、ミルフィールなどと呼ばれるものもありますが、これらも呼び名の違いだけで同じダマスカス鋼、ダマスカス包丁になります。17層もの、33層、65層・・など見た目の美しさを追求するために層が増やされる事もありますが、包丁の切れ味や品質には関係ありません。切れ味は中心に使われている鋼の品質で決まります。